立つ・座るが変わる!体の重心を感じる簡単エクササイズ
なぜ体の重心を意識することが大切なのか
日々の生活の中で、「なんとなく体がだるい」「特定の場所に負担がかかる」と感じることはありませんでしょうか。このような体の不調や歪みは、実は体の「重心」を意識できていないことが関係している場合があります。
重心とは、体がバランスをとるための中心となる点のことです。この重心の位置が不安定だったり、常に偏っていたりすると、体はバランスを取るために余計な力を使ったり、特定の筋肉に過剰な負担をかけたりしてしまいます。これが体の歪みにつながり、腰や膝、肩などに不調を引き起こす原因となることがあります。
しかし、難しく考える必要はありません。ご自宅で、特別な道具を使わずに、ご自身の体の重心をほんの少し意識する簡単なエクササイズや習慣を取り入れるだけで、体の使い方が変わり、結果として体の歪みの改善につながることが期待できます。
この記事では、体の重心を意識するための簡単な方法と、立つ・座るといった日常動作の中で重心を整えるポイントをご紹介いたします。ぜひ、今日から少しずつ実践してみてください。
自分の重心を感じてみましょう
まずは、ご自身の体の重心がどこにあるか、感覚として掴んでみましょう。
- 楽に立ちます。足は肩幅程度に開いてください。
- 目を閉じ、体の前後に少しだけ揺れてみてください。つま先に重心がかかる感じ、かかとに重心がかかる感じを交互に感じます。
- 次に左右に少しだけ揺れてみてください。右足、左足に重心がかかる感じを感じます。
- 最後に、揺れを小さくしていき、ピタッと止まった時に、最も体が安定する場所、つまりご自身の重心が感じられる場所を探してみてください。足裏のどのあたりに体重がかかっているか、意識してみましょう。
最初は難しく感じるかもしれませんが、繰り返すことでご自身の体の状態を知る良い機会になります。
立つときの重心を整えるポイント
私たちは普段、意識せずに立っていますが、立ち方一つで体に与える影響は大きく変わります。
- 足は肩幅程度に開きます。つま先はまっすぐ前か、少し外側に向けます。
- 足裏全体に体重が均等にかかるように意識します。特に、土踏まずよりも少し前のあたり(足の指の付け根あたり)と、かかとの両方にしっかりと体重が乗るイメージです。
- 膝は突っ張らず、軽く緩めます。
- お腹を軽く引き締め、背筋を伸ばしますが、反りすぎないように注意します。
- 頭のてっぺんが天井から引っ張られているようなイメージで、自然な姿勢で立ちます。
この姿勢で立つ練習をすることで、体幹が安定し、無駄な力みなく立つことができるようになります。駅のホームで電車を待つ間や、料理中など、日常生活の中で意識してみてください。
座るときの重心を整えるポイント
長時間座っていることが多い方は、座り方による体の歪みに注意が必要です。
- 椅子に深く腰掛けます。
- 両方の坐骨(お尻の下にある硬い骨)で椅子をしっかりと支える感覚を持ちます。片方だけに乗ったり、浅く腰掛けたりしないようにします。
- 骨盤が立ち、背筋が自然に伸びる姿勢を保ちます。猫背になったり、逆に反りすぎたりしないように注意します。
- 足裏は床にしっかりとつけます。もし床につかない場合は、足台を使用しましょう。
- 肩の力を抜き、リラックスします。
座っている間に時々、お尻の下の坐骨を意識したり、足裏の感触を確かめたりすることで、重心が崩れていないかチェックすることができます。
日常に取り入れたい簡単エクササイズ
立ったまま、座ったままできる、重心を意識する簡単なエクササイズです。
エクササイズ1:足裏重心バランス
- 立った状態で、足裏全体に体重が均等にかかるように意識します。
- 息を吸いながら、ゆっくりとかかとを上げてつま先立ちになります。体がぐらつかないように、足裏の指の付け根あたりに重心が乗るのを意識します。
- 息を吐きながら、ゆっくりとかかとを下ろします。
- 次に、息を吸いながら、ゆっくりとつま先を上げてかかと立ちになります。このとき、かかとの後ろ側に重心が乗るのを感じます。
- 息を吐きながら、ゆっくりとつま先を下ろします。
- これを5〜10回繰り返します。壁などに手をついて行っても構いません。
エクササイズ2:座ったまま骨盤バランス
- 椅子に座り、両方の坐骨で椅子をしっかりと支えます。
- 背筋を伸ばし、骨盤が立っているのを確認します。
- 息を吐きながら、ゆっくりと骨盤を後ろに傾け(お腹を凹ませるように)、背中を少し丸めます。坐骨が椅子の後ろの方に移動するのを感じます。
- 息を吸いながら、ゆっくりと骨盤を前に傾け(お腹を前に出すように)、背中を軽く反らせます。坐骨が椅子の前の方に移動するのを感じます。
- この骨盤の傾きを繰り返しながら、最も体が安定する「真ん中」のポジションを探します。
- この動きを5〜10回繰り返します。
実践する上でのポイントと注意点
- 無理なく行う: 痛みを感じる場合はすぐに中止してください。できる範囲で、少しずつ取り組むことが大切です。
- 呼吸を意識する: エクササイズ中は、呼吸を止めずに自然な呼吸を心がけましょう。呼吸は体の状態を整える上で非常に重要です。
- 継続する: 一度に行っただけでは大きな変化は感じにくいかもしれません。毎日少しずつでも継続することで、体の使い方が定着し、変化を感じられるようになります。
- 完璧を目指さない: 最初から完璧な姿勢や動きを目指す必要はありません。まずは「重心を意識する」こと自体に慣れることから始めましょう。
まとめ
体の重心を意識することは、体の歪みを改善し、より快適な日常生活を送るための第一歩です。立つ・座るといった普段何気なく行っている動作の中で、少しだけ重心に意識を向ける習慣をつけるだけでも、体の使い方に変化が生まれます。
今回ご紹介したエクササイズは、ご自宅で簡単に取り組めるものばかりです。ぜひ、毎日の生活の中に少しずつ取り入れてみてください。継続することで、体のバランスが整い、腰や股関節などの負担が軽減され、体が楽になるのを感じられるはずです。ご自身の体の感覚に耳を傾けながら、無理なく続けていきましょう。